こんにちは。留学生就職支援をしております、ASIA Linkです。
出入国在留管理庁が「令和7年度在留外国人に対する基礎調査結果」を公表しました。
本調査は、外国人住民が日本で生活する上で抱える課題を的確に把握し、共生施策へ反映することを目的として、令和2年から毎年実施されているものです。
今回の令和7年度調査では、基本的な設問構成は令和6年度を踏襲しつつ、調査票の対応言語にスペイン語が追加されるなど、多様化する外国人住民への対応が進みました。その結果、有効回答数は8,874件(前年度比1253件増)、回答率45.5%(同6.6ポイント増)と大きく数字を伸ばしました。
変わらない課題と、依然として残る「情報の壁」
一方で、調査結果から見える課題は例年と大きく変わっていません。
· 日本語能力への不安
· 行政手続の分かりにくさ
· 医療や防災情報へのアクセス不足
· 就労や子育てに関する相談先が分からない
こうした課題は、継続して挙げられています。外国人住民は増加し続けているものの、「生活に必要な正しい情報が十分に届いていない」という課題は、依然として残っていることが分かります。
見えてきた課題をクリアしていくためには、生活を支える各セクターが、それぞれの立場でどのような役割を果たすべきなのでしょうか。
課題をクリアするために、各セクターに求められる役割
1.官庁(国):「利活用」まで見届ける視点
多言語化だけでなく、「やさしい日本語」の活用やデジタルによる情報提供の充実が求められます。また、制度を作るだけではなく、制度に係る外国人に正しく情報が届き、実際に利活用できているかを継続的に検証する視点も欠かせません
2.自治体:住民に最も近い「拠点」づくり
多文化共生の拠点づくりを進める必要があります。子育て、教育、防災、医療など生活に密着した分野で、多言語対応や相談窓口の充実を図ることが求められます。同時に、外国人住民を単に「支援される側」としてだけではなく、地域を支える住民として位置付ける視点も必要でしょう。
3.企業:「定着支援」への投資
人材確保だけでなく「定着支援」への投資が重要になってきます。生活オリエンテーション、社会保険制度の丁寧な説明や日本語学習支援、キャリア形成支援、相談体制の整備などを進めることで、外国人社員が安心して長く働ける環境づくりが期待されます。
4. 地域社会:顔の見える関係づくり
自治会や学校、ボランティア活動、地域イベントなどを通じて顔の見える関係が生まれることで、孤立の防止や相互理解につながります。「言葉が完璧に通じなくても歩み寄り知ろうとする」姿勢が、その第一歩となります。
理想で終わらせないために:今、急務となる「間に立てる人材」確保
そして、各セクターの観点とは別に、この話を理想で終わらせないためには、日本人と在留外国人の「間に立てる人材」を具体的に増やしていくことが急務です。
在留外国人は、国籍によってコミュニティを形成しているケースがあります。そこは彼らにとっては、母国語で事情を共有し協力し合える、安心できる居場所となっています。
その中で、日本社会と積極的につながりを持ち関係を作ろうという意欲と能力・行動力がある人は一部に限られますが、外国人コミュニティと日本社会をつなげられるそのようなキーパーソンが増えていくことが、分断社会を回避するためには必要不可欠です。
日本人側からも外国人側からも、両者のことをよく理解し、間に立ちより良い関係作りに資する人材が増えていくことを期待したいと思います。
終わりに:共生社会への「定点観測」として
在留外国人に対する基礎調査は、単なるアンケートではありません。日本社会が多文化共生社会へ向かう現在地を映す「定点観測」ともいえます。
調査結果を行政だけの課題として捉えるのではなく、企業や地域社会も含めた共通の課題として受け止め、一人ひとりができる取組を積み重ねていくこと。
それこそが、これからの持続可能な共生社会につながるのではないでしょうか。
では、この『間に立つ人材』をどうやって発掘し、育て、仕組みとして定着させていくのか。これについては、私自身も日々現場で模索しているテーマです。次回の記事で、もう少し深く掘り下げて考えてみたいと思います。
(記事担当:清水)
