留学生の就職支援者が「雇用主の視点を持つ」ということ

こんにちは!ASIA Linkの小野です。

今日は、学生の就職支援という仕事を行う立場として、「雇用主の視点を持つ」ことの重要性について書きたいと思います。

私は10年前にASIA Linkを創業する以前は、日本語学校と専門学校で日本語教師をしていました。雇用される側、つまり従業員として、所属機関から毎月決まった給与をいただきながら、留学生に日本語の授業を行っていました。
担当クラスの留学生からは、時々卒業後の就職についても相談を受けました。その頃の私は、教育機関以外の民間企業で働いた経験がなく、社員の採用に関わる業務を経験したこともなく、留学生と一緒に「業界・職種研究」の本を読んだり、一緒にネットで企業情報を調べて、簡単なアドバイスをするというレベルの対応しかできませんでした。

当日の留学生には、本当に力不足で申し訳ないことをしたと今でも思っています。

この不甲斐ない想いも一つの原動力となり、ASIA Linkという留学生就職支援会社を創業したわけです。
創業後は、とにかく日々あちこちの企業を訪問し、企業の経営者や人事担当の方々と接する中で、留学生の就職支援を行うための様々な知識・スキルを身に着けていきました。

しかし、留学生の就職支援を行う中で、私が最も役に立ったと感じているのは、自分自身が「会社を経営する立場・従業員を雇用する立場になった」ということです。
・なぜ、なんのために会社は人を雇用するのか
・従業員に毎月遅滞なく決まった給与を支払うというのがどういうことなのか
・経営者・雇用主は、従業員に何をしてほしいのか。どうなってほしいのか。
・経営者はみんなの見えないところでどんな仕事をしているのか、どんな生き方をしているのか。

このような考え方は、自分が(少なくとも私は)一従業員として働いていたときには、自分の頭の中にはありませんでした。自分の給与の源は何なのか?自分の給与=自分が提供できる価値とは何なのか?ということも改めて深く考えたことがありませんでした。

私は、いま自分が就職支援・人材紹介の仕事をしていく上で、経営者・雇用主の視点は必須であると考えています。
一人の人を雇用するということは、その人の人生にとっても、社会にとっても、そして自社にとっても、影響が大きく重い責任を伴うものだからです。

留学生と日々接していると、各々に人生があり、一生懸命生きていることがわかるので、「何とか就職先を見つけてあげたい」という気持ちが沸きます。これは自然な感情ですし、就職支援をする上で大切な想いでもあると思います。
ただ、ここに雇用側の視点が抜けてしまうと、単なる親がわりのような自己満足な「応援」になってしまい、プロの支援者ではなくなります。

この、経営者視点・雇用主視点というのは、自分がその立場ではなかったとしても、ある程度持つことができます。実際に、その視点を持っている就職支援者も多くいます。
その視点を持つためには、やはり経営者・雇用者とできるだけたくさん接して、その声を聴き、意見を交わすことが必要です。経営者・雇用者の考えや想いを理解し、その立場になって考えることで、現実に即した就職支援の在り方が見えてきます。

ASIA Linkでは、毎年夏に、留学生の就職支援に関わる教職員の方々を対象に「就職支援研修会」を主催しています。
実際に、外国人社員(元留学生)を雇用している企業の、経営者や人事担当者にも登壇いただき、経営側・雇用側から見た留学生採用についての本音を、話していただいています。
今年は7月10日(土)にオンラインで開催します(Zoom使用)。
今回は、精密機械メーカー、自動車部品メーカー、環境調査分析企業、外食企業の4社から、経営層・人事担当の方々が登壇します。

経営側・雇用側の本音をぜひお聞きいただき、質問もぶつけていただければと思います。

研修会の詳細と参加申し込みは、以下の専用webサイトからお願いします。
https://kenshuukai.jimdofree.com/

 

今年もたくさんの教職員の方々と一緒に勉強できることを、楽しみにしています。
経営者視点・雇用者視点を持つ就職支援を目指していきましょう。