留学生・外国人の皆さんへ:最新の入管動向、「技人国」と「永住許可」について

外国人の在留資格について、近年は厳格化の動きが進んでいます。SNSや外国人同士のコミュニティでは、「裕福な人しか永住許可がとれなくなる」「外国人は歓迎されていない」といった不安の声がある一方で、「一部の外国人のマイナスイメージが原因で、真面目に法令順守している外国人のイメージも低下している。特に永住権はこれまでが甘かったのでは」という声も見受けられます。

制度の変更期には、SNS上で不安を煽る不正確な情報も拡散しやすいため、感情的な書き込みに惑わされず、入管庁の公式情報や、信頼できる専門家の正確な情報を確認することが何よりも重要です。

在留資格は、外国人の方が日本で生活するための大切な足場です。「知らなかった」「友達から聞いた情報が正しくなかった」という理由で、希望するビザが取得・更新できなくなる事態は避けなければなりません。

すべての外国人が正しい最新情報を得て、自分の責任でしっかり準備を進めていくことが求められています。

今回は、留学生にとって身近な「技術・人文知識・国際業務」と「永住許可」について、最近の動向を見ながら対策を考えていきたいと思います。

「技術・人文知識・国際業務」の審査はなぜ厳しくなっているのか?

大学等を卒業した外国人が日本で働く際に取得する「技術・人文知識・国際業務」(以下、「技人国」)。最近、「以前と同じ内容で申請したのに不許可になった」「追加書類を求められるケースが増えた」という声が行政書士や採用企業から聞かれるようになりました。

背景にある「特定技能」とのすみ分け

「技人国」は、大学等で培った専門性を活かして働くための在留資格です。しかし、名目上は専門職でありながら、実際は工場でのライン作業やホテルのベッドメイクといった単純労働に従事するケース(いわゆる「偽人国」と揶揄されるグレーゾーン)が存在していました。

2027年4月から「育成就労制度」が始まることもあり、入管は育成就労・特定技能と、より高度な専門性を求められる技人国との線引きをより明確にしようとしています。

求められる「専門性の証明」

現在、単に雇用契約書を出すだけでなく、以下の点が厳しく審査されます。

  • 単純労働ではなく、「高度な専門性が必要とされる仕事」であることの証明。

  • 業務内容を証明するため、1日のスケジュールや入社2年目のスケジュール、キャリアパス計画表などの追加書類。

「永住許可」の要件、具体化・厳格化

永住許可に関するガイドライン改定が進み、審査の考え方がより「具体化・厳格化」しています。これまでの「日本に10年住んでいれば取れる」という感覚は通用しなくなってきました。

① 独立生計要件(収入と年金)

  • 収入: 世帯人数に応じた年収水準に達しているかが考慮されます(※資格外活動のアルバイト収入は世帯年収に含まれません)。母国の家族を扶養に入れている場合、同居していなくても世帯人数に加算されるため、必要な年収水準が高くなる点に注意が必要です。

  • 年金: 受給できる年金の見込み額が、30年間厚生年金に加入した水準に達しているかが考慮されます(不足する場合は補填可能な金融資産も考慮)。

② 国益要件の明確化
既存の要件に記載されていた「国益に反しない」という消極的な要件にとどまらず、「積極的かつ具体的に当該外国人の永住が日本国に利益をもたらす必要性」が明記されました。

  • 消極評価(マイナス)となる要素: 各種届け出義務の不履行、税金・保険料・年金の未納(過去の滞納処分も含む)、合理的な理由のない長期間の出国(1回で半年以上、または通算2年6か月以上)、日本の制度・ルール等についての理解(する意欲)が乏しい、学齢期の子どもの不就学など。

  • 日本語能力の要件化: 地域社会に円滑に適応するため、CEFR B1相当(JLPT N3の高得点層~N2の標準層)程度の日本語能力が考慮要素に含まれるようになりました。

留学生・外国人が気を付けること

永住許可は「日本で10年過ごしたご褒美」ではなく、「日本社会への貢献実績を積み上げた人への許可」です。客観的証拠(エビデンス)をもって証明できるように、日頃から以下の対策を徹底しましょう。

  • 「仕事」と「ビザ」の整合性を徹底する: 単純労働と思われる業務は避け、派遣社員よりも正社員としての直接雇用の仕事に就く。

  • 税金・社会保険料の滞納をしない: 納税や保険料の納付状況は「国に対する誠実さ」のバロメーターです。過去の未納がある場合は完納しておきましょう。

  • 書類はすべて保存: 給与明細、年金記録、納税通知書などのエビデンスは大切に保管する。

  • 日本語能力の証明: JLPT N2(できればN1)を資格として取得しておく。

  • 法令順守の徹底: 留学生はオーバーワークを絶対にせず、各種届け出義務を怠らない。

活動・期間の制限がなく日本に在留できる安定した法的位置づけであるからこそ、永住許可はこれまで以上に「慎重な審査」が行われます。自分が描く未来像に必要な在留資格に向けて、何が必要で、どのような準備が必要なのか。正しい情報をキャッチし、自分の責任で着実に準備を進めていきましょう。

(記事担当:清水)