26卒外国人留学生の中小企業応募に関するアンケート調査

中小企業に応募した理由の経年変化

1.はじめに

株式会社ASIA Linkでは、2026年3月卒業予定の外国人留学生(以下、留学生)を対象に中小企業への応募に関するアンケート調査を実施した。

中小企業は日本の全企業のうち99.7%を占めている。2025年3月に公表された出入国在留管理庁の「令和5年における留学生の日本企業等への就職状況について」によれば、従業員数300人以下の中小規模の企業に就職した留学生は全体の66.3%を占めており、その数は少なくない。彼らがどのような動機付けで中小企業へ応募したのか、その理由を明らかにすることで、中小企業が採用活動を行う際の一助となることを目的に調査を実施した。

2.調査概要

・調査期間:2025年9月22日~2025年10月13日
・調査機関(調査主体):株式会社ASIA Link
・調査対象:2026年3月卒業予定の留学生
・サンプリング条件:ASIA Linkに登録している26卒留学生で日本での就職活動を経験した方及び教職員を通じてアンケートに協力してくれた方、最終学歴が大学、大学院(修士・博士)、高等専門学校の方
・有効回答数:46名
・調査方法:Web上のアンケートフォームのリンクをメール送信

3.調査対象者の属性

・専攻分類:文系 22名、理系 24名
・地域・出身国:東アジア 33名(中国 、韓国など)、東南アジア 8名(ベトナム 、マレーシア、バングラデシュなど)、南アジア2名(インド、パキスタンなど)、欧米 3名(米国、フランスなど)
・最終学歴:大学院(修士課程)22名、大学(学部)21名、高等専門学校2名、大学院(博士課程)1名

 4.中小企業への応募理由

本調査では留学生の中小企業への応募理由を明らかにすることを目的にアンケート調査を行った。

昨年、実施したASIA Link(2024)「25卒外国人留学生対象 中小企業への応募に関する調査」の質問及び選択肢の作成に際しては、日本人学生を対象に調査を行ったキャリタスの2022年10月発行「2023年卒 vol.10 10月1日時点の就職活動調査」の第3章「中小企業への選考応募状況調査」(以下、キャリタス(2022)とする)を参考にした。キャリタス(2022)に倣い、中小企業は従業員300人未満の会社と定義した。本調査においても、それらを踏襲する。

本調査では、まず、留学生の中小企業への応募理由の特徴を明らかにするため、日本人学生との比較を行う。キャリタスの2025年10月発行「2026年卒 vol.10 10月1日時点の就職活動調査」の第5章「中小企業への選考応募状況調査」(以下、キャリタス(2025a)とする)のデータを用いる。それに加え、前回調査のASIA Link(2024)の25卒留学生と今回調査の26卒留学生の経年変化の比較を行う。それぞれの差異から、中小企業が留学生へのどのようにアプローチするのが適当であるか、その端緒を明らかにしたい。

4-1.中小企業への応募の有無

4-1-1.留学生と日本人学生の比較

2026年3月卒業予定の留学生を対象に、中小企業(従業員300人未満の会社)に応募をしたかを尋ねたところ、46名より回答が得られた。そのうち「はい」は40名(87%)、「いいえ」は6名(13%)であった。本調査ではエントリシートあるいは履歴書の提出からを企業への応募とした。

キャリタス(2025a)が日本人学生に中小企業への応募経験について尋ねたところ、「エントリーした」と答えたのは54.2%で、前年55.1%より、1ポイントの減少が見られ、日本人学生の応募状況に関して、「近年の売り手市場により、中小離れの傾向が続いている」と考察されている。本調査の留学生は87.0%が中小企業に応募しており、日本人学生より32.8ポイント高い結果となった。

4-1-2.前回調査との比較

前回調査のASIA Link(2024)では、2025年3月卒業予定の留学生の74%が中小企業に応募したと回答し、今回は87%で13ポイントの増加が見られた。

4-2.留学生が中小企業へ応募した理由

中小企業へ応募したと回答した留学生40名(87.0%)に、応募理由について尋ねたところ、以下の回答が得られた。回答は複数選択可とし、自由記述欄も設けた。中小企業に応募した理由を以下の図に示す。

26卒中小企業に応募した理由
図1 26卒中小企業に応募した理由

最も多かったのが「やりたい仕事に就ける」19名(47.5%)、次いで「会社の雰囲気がよい」17名(42.5%)、「志望業界の企業だった」16名(40.0%)だった。

注:グラフ内の「勤務地が魅力的だった」について補足する。本調査はキャリタス(2022)を参考に選択肢を作成したが、「出身地・地元に本社がある」の項目は、留学生が日本国内の地域を「出身地」とすることは考えにくいため、「勤務地が魅力的だった」に変更を行った。

4-2-1.留学生と日本人学生の比較

キャリタス(2025a)の日本人学生が中小企業を受けた理由の上位三項目は「会社の雰囲気がよい」(39.1%)、「やりたい仕事に就ける」(38.7.%)で上位二項目は日本人学生と留学生に同様の傾向が見られた。日本人学生の三番目は「内定を取りやすそう」(29.1%)で、留学生は22.5%で、日本人学生と比較すると6.6ポイント差はあるが、中小企業は内定を得られやすいと考える傾向が見られた。

留学生と日本人学生との差が最も大きかったのは、「転居を伴う転勤がない」で留学生が2.5%、日本人学生が27.9%で、25.4ポイント差があった。進学時点で外国への移動をしている留学生にとっては転居を伴う転勤の有無が応募を左右しない可能性が考えられる。日本人学生の「Uターン・地元就職に関する調査」のマイナビ(2025)によれば、26卒の日本人学生の56.4%は地元の企業で働くことを希望しているが、6年ぶりに6割を切っていたという。コロナ禍に地元志向が強くなったものの、現在はその影響が小さくなりつつあることが指摘されている。

次いで差が大きかったのは「志望業界の企業だった」で、留学生は40.0%、日本人学生は17.3%で、23ポイントの差があった。留学生の方がより業界を重視する傾向が見られた。

4-2-2.留学生の経年変化

ASIA Linkではこれまで24卒、25卒を対象に中小企業への応募に関する調査を行ってきた。また、中小企業に応募する理由として、海外進出や海外に拠点があることが、留学生の応募の動機付けになるかどうかを明らかにするため、キャリタス(2022)にはなかった「海外・グローバルな展開をしている会社だった」を選択肢に追加して調査を行ってきた。その選択肢も合わせて、26卒を含めた三年間の調査結果を以下の図に示す。

中小企業に応募した理由の経年変化
図4 留学生が中小企業に応募しなかった理由の経年変化

この三年の調査において、「やりたい仕事に就ける」「海外・グローバルな展開をしている会社だった」「会社の雰囲気が良い」の上位三項目は共通していた。留学生にとって仕事内容、海外展開、会社の雰囲気の良さが応募するかどうかを左右するポイントになっていることがわかった。大企業の総合職と比較すると、仕事の内容のわかりやすさ、配属先で一緒に働く人たちの顔が見えることが応募を促す要因になっているのではないだろうか。また、企業のグローバル展開に関われることを自らのアドバンテージとして捉えているのだと推察される。

次に経年変化が見られたものをとりあげる。最も大きな増加傾向が見られたのは、「インターンシップ参加者の優遇があった」で、24卒3.0%、25卒1.7%、26卒15.0%だった。キャリタス(2025b)によれば留学生のインターンシップ参加率は50.5%で、日本人学生の90.6%と比べると大きな開きがあるという結果が出ているが、以前と比較するとインターンシップ参加後の早期選考などを利用して就職活動を進めていることが窺われる。

次に「選考の練習台として」「内定を取りやすそう」「勤務地が魅力的だった」で、24卒と比較すると、25・26卒は増加傾向にある。24卒はコロナ禍の影響を強く受けており、慎重に就職活動を進めていたのではないだろうか。25・26卒はコロナ禍の影響が和らいだのと同時に、売り手市場であることから、企業を選ぶような傾向が出ている。

最も大きな減少傾向が見られたのは、「仕事の裁量が大きい」で、24卒19.0%、25卒5.2%、26卒5.0%だった。中小企業は大企業に比べて仕事に裁量があることを24卒は応募理由にあげていたが、25卒、26卒ともに減少していた。24卒はコロナ禍の就職活動を経て、主体性を持って自ら動くことが求められていると強く感じていた可能性がある。

4-2-3.外国人留学生の就職活動との比較

次に、本調査の結果が中小企業へ応募した留学生に特有の傾向であるのかを検討するため、キャリタスの2025年8月発行「2026年卒 外国人留学生の就職活動に関する調査」(以下、キャリタス(2025b)とする)の第6章「就職先企業を選ぶ際に重視する点と希望する働き方」のデータを引用する。この調査では企業規模を限定せず、就職先を選ぶ際に重視する項目を留学生に聞いている。キャリタス(2025b)によると、留学生が就職先を選ぶ際に重視する上位3項目は、「給与・待遇が良い」(40.3%)、「将来性がある」(37.5%)、「職場の雰囲気が良い」(33.2%)だった。

先述のとおり、本調査の留学生が中小企業に応募した理由として最も多かったのは「やりたい仕事に就ける」19名(47.5%)である。一方、キャリタス(2025b)では、就職先企業を選ぶ際に重視する点の中に、仕事内容に関することは上位10項目に入っておらず、あまり重視されていないことが窺える。中小企業への応募理由は、留学生も日本人学生も「やりたい仕事に就ける」の割合が最も高い。近年、職種別採用を実施する企業は増えつつあるが、大企業の総合職と比較すると、仕事内容や配属先、職場で求められる役割が明確であることが、中小企業への応募動機の一つとなっている可能性が考えられる。

4-3.中小企業へ応募しなかった理由

中小企業に応募したかの問いに「いいえ」と回答した6名(13.0%)に、中小企業(従業員300人未満の会社)を受けていない理由について尋ねたところ、以下の回答が得られた。最も多かったのが、「発見しづらい(見つけにくい)」「特に理由はない」「給与・待遇がよくない」2名(33.3%)だった。

26卒中小企業に応募しなかった理由
図3 留学生が中小企業に応募しなかった理由

最も多かったのが、「発見しづらい(見つけにくい)」「特に理由はない」「給与・待遇がよくない」2名(33.3%)だった。

4-3-1.留学生と日本人学生の比較

キャリタス(2025a)の日本人学生が中小企業を受けなかった理由は、「給与・待遇がよくない」(53.3%)が最も多く、条件面に対する懸念が中心であると指摘されている。留学生で「給与・待遇がよくない」を選んだのは2名(33.3%)だった。

4-3-2.留学生の経年変化

中小企業に応募しなかった理由の三年間の経年変化を見る。24卒・25卒・26卒の経年変化をまとめた図を以下に示す。

中小企業に応募しなかった理由の経年変化
図4 留学生が中小企業に応募しなかった理由の経年変化

24卒は「安定性に欠ける」(54.0%)を半数以上が選択しており、大きな懸念事項になっていたことが窺える。25・26卒は減少傾向にあるため、24卒はコロナ禍による経営悪化を案じていたのではないかと考えられる。

また、「同世代の社員が少ない」「世間体が気になる」「転職などキャリアアップがしにくい」「親が反対する」「優秀な人材が少ない」といった5項目は環境の要素であるが、三年間を通じてあまり選択されておらず、留学生が中小企業に応募をしなかった理由ではないことがわかった。

4-4.中小企業が留学生にアピールする方法について

中小企業がさらに留学生に応募を促すためにどうすればいいと思うかを自由記述で尋ねたところ、46名より回答が得られた。回答内容を大別すると、「情報提供の機会を増やすこと」「待遇面の向上」「グローバルな環境にすること」「キャリアパスに関すること」に多くの意見が寄せられた。以下に一部抜粋して記載する。

自由記述による留学生の回答
・「企業の魅力を“留学生目線”で発信する」ことが大事だと思います。社内の外国人社員の声や、文化の違いを尊重して働ける環境、サポート体制(ビザ・日本語勉強など)をSNSや採用ページでわかりやすく紹介するといいです。(中国・文系)

・グローバルな環境かどうか、入社数年後にどのような仕事を任せるのかを具体的に説明する(韓国・文系)

・給料と親切な職場環境(中国・理系)

・キャリア成長の機会や働きやすい環境を具体的に示すことで、より安心感を与えられるようになると思います。(フランス・理系)

5.まとめ

3年の調査の結果、留学生が中小企業に応募した理由は、「やりたい仕事に就ける」「海外・グローバルな展開をしている会社だった」「会社の雰囲気が良い」が上位の三項目であり、その傾向が変わらないことがわかった。

仕事内容については、大企業の総合職と比較した際に、職種や求められている役割が明確であることが、中小企業への応募の有力な動機付けになるのだと考えられる。自由記述においては、情報発信を積極的にしてほしいという意見が見られた。留学生の採用を検討している企業は、仕事内容をよりくわしく説明し、社内の雰囲気をオープンに伝えることで留学生の応募を促せる可能性がある。また、留学生にとっては、その企業が海外展開しているかどうかも、応募の動機付けとなることがわかった。海外に拠点のある企業、海外との取引が盛んな企業、今後海外展開の予定がある企業は、そこをアピールすることで留学生の応募を増やせる可能性が示唆された。自由記述の回答には、英語が使用できる環境であるのか、外国人採用実績を開示してほしいなどの意見があった。それらが留学生に訴求できるポイントになると考えられる。

参考文献

・株式会社ASIA Link(2023)「24卒外国人留学生対象 中小企業への応募に関する調査」
https://blog.asialink.jp/business/20231110/

・株式会社ASIA Link(2024)「25卒外国人留学生は業界より企業の独自の強みに注目! 中小企業に応募した? しなかった? アンケート調査」
https://blog.asialink.jp/business/20241112/

・株式会社キャリタス(2022)「2023年卒 vol.10 10月1日時点の就職活動調査」
https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/10/202210gakuseichosa_kakuho.pdf

・株式会社キャリタス(2025a)「2026年卒 vol.10 10月1日時点の就職活動調査」
https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/10/202510_gakuseichosa2026_kakuho.pdf

・株式会社キャリタス(2025b)「2026年卒 外国人留学生の就職活動に関する調査」
https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2025/09/gaikokujinryugakusei_202508.pdf

・出入国在留管理庁(2025)「令和5年における留学生の日本企業等への就職状況について」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001436635.pdf

・株式会社マイナビ(2025)「マイナビ2026年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250514_95950/

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26卒外国人留学生の中小企業応募に関するアンケート調査(ASIA_Link)