【外国人留学生の本音】「本音」と「建前」の両面性は、気持ちが伝わりにくい

<東京経済大学4年・中国・女性・Cさん>
日本の企業ではいろいろなすぐれているところがあります。
例えば、職場でみんなまじめに働くこと、細かいことでも重視することなど、素晴らしいです。
しかし、外国人留学生にとって、一番心配なのは職場の人間関係です。
本音と建前という両面性を持っている日本人は、表面的にすごく優しいですが、本当の心の中が私たちにはよく見えません。そのため、国籍を超えて同じ目標・方向に進むことがなかなか難しいと感じます。
私たち外国人が、「本当に一緒に頑張りたい」「ともに成長したい」という気持ちを持っていても、日本人も同じ気持ちなのかどうかが、私たち外国人に伝わりにくいと感じています。

★ASIA Link小野から一言
日本人にとっても、人間関係構築の上で頭を悩ませることの多い、「本音と建前」の文化。
これをうまく使いこなせないと、「空気読めないヤツ」ということになりかねません。
また、本当は自分の仕事を手伝ってほしい、助けてほしいと思っていても、相手に迷惑ではないか?と気兼ねして、遠慮してしまう日本人。
「一緒にがんばろう!」「ともに成長して行こう!」という言葉も、相手に面と向かって言うのが恥ずかしい日本人。

このような「奥ゆかしい」日本人の気質や、「察する文化」も、外国人留学生にとっては人間関係を作っていく上での難しさにつながります。
日本人が心の中でどう思っているのか、「建前」ではない本当の気持ちを、外国人留学生は一生懸命探ろうとしています。
たとえば、就職面接の練習に来た留学生が、「この服装で大丈夫か」「敬語がまだうまくないが相手に失礼ではないか」「質問がありますか、と聞かれたときに、相手を不快にさせてしまう質問はあるのか」など、とても心配して聞いてきました。
あまりに心配性なので、どうしてそんなに気になるのか尋ねたところ、次のような答えが返ってきました。
「日本人は、いつも優しく笑ってくれますが、心の中ではもしかして怒っているのではないか?と心配になります。自分の気持ちをはっきり言ってくれない、という感じが常にしています。大学の日本人の友人とも、いつも見えない距離のようなものを感じます。自分は何か失礼なことをしたのではないか?と心配になります。」

国や地域、個人によってももちろん違いはありますが、外国人留学生にとって日本人は、本当の気持ちを言ってくれないという印象があるようです。
職場に入ると、これはさらに深刻なケースに発展することもあります。
日本人の上司が、外国人社員に対して、
「〇〇さんには、中国のお客様をどんどん増やしてくれるよう、活躍を期待しているよ!」
「〇〇さんがいてくれたおかげで、今日の展示会は外国人のお客様対応がスムーズだったよ。ありがとう!」
という気持ちを持っているにも関わらず、面と向かって気持ちを伝えることがない、という職場もあります。
外国人社員は、日本人上司の気持ちがわからず、自分に何が期待されているのか、自分は何に貢献しているのかが次第に見えなくなり、自信をなくして孤立を深めていくケースもあるのです。

私たち日本人は、無意識のうちにも、程度の差こそあれ「本音と建前」や「察する文化」を人間関係作りの中に取り入れています。
ただ、やはり心の中の気持ちは、ストレートな言葉にしなければ伝わらないことも事実。日本人同士であってもそうですね。
ぜひ、そこを意識しながら、心をオープンにして外国人留学生・外国人社員と本音で付き合っていただきたいと思います。