26卒外国人留学生の日本の製造業に対するイメージ調査

製造業にエントリーした人とエントリーしなかった人の比較

1.はじめに

近年、生産年齢人口が減っていることから、新卒採用は売り手市場が続いており、日本人学生だけでなく、外国人留学生(以下、留学生)も獲得するのは容易なことではない。

『日経ものづくり 2025年8月号』では、製造業などに勤務する人を対象に、外国人就労者は日本の製造業に必要か否かのアンケート調査を行っている。「必要」が33.7%、「どちらかというと必要」が31.2%で64.9%の回答者が必要であると答えている。また、就労している外国人の職務は「製造・工場」が49.3%で最も多いものの、それに続くのは「研究・開発」40.5%、「設計」27.7%であり、企業のコア人材としても活躍している様子が窺われる。外国人就労者の存在の重みが増していると指摘されているとおり、製造業において外国人材は欠かせない存在になりつつある。しかしながら、優秀な外国人材は、他の業界でも求められており、製造業で働くことを希望するとは限らない。日本の基幹産業である製造業が外国人材を獲得するには、どのような方策が必要なのだろうか。

本調査では、コア人材としての活躍が期待される留学生に着目し、留学生が日本の製造業に対してどのようなイメージを持っているのかを明らかにする。それにより、製造業が採用施策を考えるための一助となることを目的としたい。

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第8回「教職員のための外国人留学生就職支援研修会 ~留学生のキャリアデザイン 就職後の元留学生のキャリアヒストリーを聞く~」レポート

1.はじめに

「教職員のための外国人留学生就職支援研修会」とは、外国人留学生の日本での就職を支援するために、「教員」「キャリアセンター等の学校職員」「元留学生を雇用している企業」「日本で働く元留学生」「就職支援企業」の5者の情報や知見の共有を目的としたものです。2017年11月に第1回を開催し、今回で8回目を迎えました。

前回(2024年7月)は、「留学生のキャリアデザインをどう考えるか」というテーマで元留学生を雇用する企業関係者をゲストに迎え、雇用側の視点で外国人社員のキャリアについて考えました。今回は、引き続き「留学生のキャリアデザイン」をテーマに据え、今回は外国人社員側の視点で考えるために、日本で働いている元留学生をゲストに迎えました。キーノートスピーチ、元留学生のパネルディスカッション、参加者全員によるワークショップと、4時間にわたり学び合いました。
以下、当日の内容をレポートとしてまとめました。
留学生の就職支援の一助となりましたら幸いです。

【実施概要】
日時:2025年7月19日(土)13:30~17:30
会場:国士舘大学世田谷キャンパス、ZOOM(ハイブリッド開催)
テーマ:留学生のキャリアデザイン ~就職後の元留学生のキャリアヒストリーを聞く~
主催:株式会社ASIA Link

【参加者】
合計75名
・会場出席者 35名 ※うち7名は元留学生ゲスト
・ZOOM出席者 40名 続きを読む →

内定辞退した外国人留学生の気持ち

こんにちは! 留学生就職支援のASIA Linkです。

弊社は外国人留学生を専門に、日本企業に留学生を紹介するといった職業紹介事業を行っております。

求人募集に留学生がエントリーをしてから内定を得るまで、弊社は伴走していくのですが、昨今の売り手市場も影響してか、複数社の内定を得られる留学生も増加傾向にあり、それに伴い「内定辞退」も増えつつあります。

職業紹介(人材紹介)の会社にとって、内定辞退というのは避けられないものではありますが、とても苦しいものでもあります。

内定辞退を防ぐ方法、解決策はないのかもしれません。ただ、外国人留学生がどんな理由、どんな気持ちで内定を辞退したのかは探ることができるだろう、ということで、25卒の留学生に昨秋オンラインでインタビューを行いました。

一例として、日本の日本語学校、大学、大学院を経て、日本企業に就職されたベトナム人のAさんが語ってくれたことをみなさんにシェアできればと思います。

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起業して25日目の私に「働く」ことの原点を教えてくれた会社

こんにちは。ASIA Linkの小野です。

ASIA Linkは、日本のメーカーと外国人留学生をつなぐ人材紹介会社です。
なぜメーカーなのか?
その原点ともいえる出会いについて、今日は書きたいと思います。


2011年10月、私は外国人留学生と日本の企業をつなぐ人材紹介会社を一人で始めました。

もともと日本語教師として、様々な国から来た留学生に日本語を教えていた私は、多様な価値観を包み込む多国籍な教室で、日々新しい風を感じていました。
日本社会もこんなふうに自由になれたら、新しい何かが起こるかもしれない。
卒業したあとで日本に残って働きたい留学生が増えたら、日本のカイシャはもっとおもしろくなって、日本社会ももっとおもしろくなるかもしれない。
留学生が日本で活躍していく姿も見たい。

そうだ、留学生と日本企業をつなげる仕事をしよう。

しかし、起業したものの、どうやって紹介先の企業を探せばいいのかわかりませんでした。

留学生を採用したい企業があるのか、 続きを読む →

「あなたにとって多文化共生とは?」を6年ぶりに考えてみた

こんにちは。小野です。

先週の土曜日(1/25)、「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」の成果発表会に参加してきました。

このプロジェクトは、カシオ計算機と武蔵野美術大学の産学連携で2017年度にスタートし、今年で8年目となるプロジェクトです。
多文化共生に取り組む、または多文化共生を体現する様々な団体や個人を武蔵野美術大学の学生さんたち(日本人学生と留学生の混成チーム)が取材し、そこから得た気づきをもとに再構成してドキュメンタリー映像やプレゼンテーションの形で一つの「作品」に仕上げます。
その「作品」を、年に1度、成果発表会として一般に公開してきました。

2018年に、このプロジェクトの取材対象としてASIA Linkを選んでいただき、取材を受けたことがご縁で、私もこの成果発表会を毎年楽しみにしてきました。

★2018年度のプロジェクトで作成されたASIA Linkのドキュメンタリームービーはこちら→ 「アジアをつなげる」https://web.casio.jp/mau/mov01.html

★過去のプロジェクトの一覧はこちらから見られます
 → https://www.casio.co.jp/mau/

このプロジェクトは、最初の何年間かは外国人留学生や日本に住む外国人をテーマの中心に据えて多文化共生を考える作品が作られていましたが、 続きを読む →

経営者の心に火をつけるフォロワーの存在

こんにちは!小野です。

先週の金曜日、留学生の面接に同行して、機械部品メーカーさんをご訪問してきました。

とても緊張していた留学生でしたが、社長さんをはじめ社員のみなさんの温かい歓迎を受け、次第に笑顔に。
会社の業界・製品・技術についてくわしくご説明いただき、これから会社がどうなっていきたいか、その中でどのように留学生の力を必要としているかも、熱く語ってくださいました。

このメーカーさんは、ASIA Linkを創業して最初の年に開催した就職イベント「アジアの架け橋」に参加してくださった企業さんです。
もう13年目のお付き合いです。
この間、社長さんが「海外をめざす」という夢を追い続けてきた姿を、私も拝見してきました。
中小企業が海外展開をめざすにはいくつものハードルがありますが、社長さんがその次々と立ちはだかるハードルの前で立ち止まり、試行錯誤し、前進しては後退する姿も、遠くからではありますが(そしては私自身は何の力にもなれず、時折お話を聞く程度でしたが)、拝見してきました。

今回、私がとても感動して、且つ大きな気づきをいただいたのは、 続きを読む →

留学生が就職内定を取るまでの3つの成長段階【ASIA Linkレポート】

1.はじめに

私たちASIA Linkは、外国人留学生と日本企業をマッチングする人材紹介・就職支援の仕事をしています。日々留学生と面談を行い、留学生の企業での選考過程に伴走する中で、留学生が就職活動というプロセスを通じて変化していく様子、成長していく様子を目の当たりにしてきました。

就職活動をスタートさせた留学生たちは、最初はうまくいかず、一次面接で落ち続けます。
そうするうちに、次第に、二次面接まで進むようになります。
そして最後は内定を取ります。
私たちは、彼らの就職活動を観察し続ける中で、ここにはどうやら成長の段階があるようだ、と感じるようになりました。そして、内定を得た留学生の様々なケースを分析した結果、3つの成長段階を見い出しました。

留学生は、どのような段階を経て成長し、内定を取るのか。
今回のレポートでは、このメカニズムを提示してみたいと思います。 続きを読む →

25卒外国人留学生の内定承諾の決め手は? 1社内定 vs 複数内定者の決断に隠された違いとは? アンケート調査

1.はじめに

近年の新卒採用は売り手市場であることが指摘されている。日本人学生が内定を辞退した企業数は平均3.4社(パーソル総合研究所,2024)である。また、日本経済新聞の2025年度の採用状況調査によれば、主要企業の62.2%が予定した人数を採用できなかったという。企業が内定を出しても、入社にまでつながらないケースが数多くあることが推察される。

採用活動の長期化は企業にとっても負担が大きい。一社の内定が出た段階で内定承諾をする留学生もいれば、複数社の内定を得て比較検討をしてその後も応募を続ける留学生もいる。一社内定で承諾をする留学生と複数内定を得て選びたい留学生は何が違うのだろうか。企業側はいくつもの企業を天秤にかける留学生を追うより、内定承諾をして入社する可能性の高い学生にアプローチしたほうが、採用活動のコストを低減することができるのではないだろうか。

本調査では、一社の内定が出た段階で就職活動をやめた留学生と複数内定を得ている留学生が企業選びで何を重視しているのかに着目したい。この二者の違いを明らかにして、一社で内定承諾する留学生の特徴と彼らへのアプローチ方法が提案できればと思う。留学生採用を行っている企業や留学生採用を検討している企業の一助になればと考える。

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25卒外国人留学生は業界より「企業の独自の強み」に注目! 中小企業に応募した? しなかった? アンケート調査

1.はじめに

株式会社ASIA Linkでは、2025年3月卒業予定の外国人留学生(以下、留学生とする)を対象に中小企業への応募に関するアンケート調査を実施した。

中小企業は日本の全企業数の99.7%を占めている。2023年12月に公表された出入国在留管理庁の「令和4年における留学生の日本企業等への就職状況について」によれば、従業員数300人以下の中小規模の企業に就職した留学生は全体の68.6%を占めており、その数は少なくない。彼らがどのような動機付けで中小企業へ応募したのか、その理由を明らかにすることで、中小企業が採用活動を行う際の一助となることを目的に調査を実施した。

2.調査概要

・調査期間:2024年9月8日~2024年10月1日
・調査機関(調査主体):株式会社ASIA Link
・調査対象:2025年3月卒業予定の外国人留学生
・サンプリング:ASIA Linkに 続きを読む →