留学生との面談は、この仕事の醍醐味です

こんにちは!ASIA Linkの小野です。

私たちASIA Linkの仕事の中でも、とくに重要なのが「留学生との面談」です。
これが、本当にすばらしく楽しくて充実した時間なのです。
留学生から聞く話は、まさに「知」の宝庫。
そして私自身のカルチャーや精神をゆさぶってくるものでもあります。

この時間があるから、仕事がどんなにハードでも、この仕事は辞められないのです。

ASIA Linkには、年間約1,500人の留学生から新規に登録がきます。
ここ数年は、全国の大学から留学生が登録してくれるようになり、面談は基本的にSkypeやZoomを使ってオンラインで行っています。
(写真は、創業3年目くらいの時のもの。当時はオフィスに来ていただいて面談することのほうが多かった)
ASIA Linkには、留学生専門のキャリアアドバイザーが、私を含めて3人おり、3人とも前職は日本語教師です。この3人で分担しながら、日々、留学生との面談を行っています。

面談は1対1で、一人30分から最大1時間で行います。
この短い時間で、初対面の留学生にできるだけリラックスしてもらい、たくさん話してもらうことができるかが、私たちの力の見せどころです。

私たちは職業紹介会社ですので、面談の目的は、その留学生の専門性、現時点でのスキル・能力・言語力の確認、希望する仕事内容や働き方の確認、人柄の見極めなどです。
主に、以下の項目を、順番に聞いていきます。
1.現在の就職活動の状況
2.母国での学歴(職歴がある人は職歴も)
3.留学の動機
4.来日後の学歴
5.現在の大学や大学院での専攻内容・研究内容を詳細に
6.日本で働きたい理由
7.希望する仕事内容や働き方を詳細に
8.その他、仕事選び・企業選びの軸

このような聞き取りの中で、その留学生の半生を少しだけ垣間見ることができたり、「学ぶこと」「働くこと」に対する価値観に触れたりすることは、私たち面談者にとっても、自分の見識や価値観を世界視野へと広げ、新しくアップデートする場にもなっています。

この面談の中でも、私が特に好きなのは(好きなだけでなく、職業紹介の面談内容としても重要度が高い)、大学・大学院での専攻内容・研究内容のヒアリングです。
ASIA Linkで面談している留学生の専攻分野は、「自然科学」4割、「人文科学」3割、「社会科学」3割、がだいたいの割合です。
面談では、大学・大学院で受けてきた主要な授業の内容、得意科目、そして卒業研究(卒論・修論)を聞いていきます。
この、卒業研究のヒアリングが、私は本当に好きです。
知的好奇心が刺激され、「面談」であることを一時忘れそうになります。

たとえば、先週面談した留学生は、資源循環学を専攻している大学院生でした。
木粉を原材料として作られたストローの耐熱性を高める研究をしており、海洋プラスチック問題の文脈の中に位置付けられている研究でした。
私も以前カフェで、プラスチックではない紙製のストローを見て、環境問題を身近に感じましたが、紙製ストローはやはり水分を含むと柔らかくなってしまいます。
この留学生の研究では、古い木材の再利用として、木粉に増粘剤等をまぜてストローを押出成型し、それを熱いお湯につけたときの耐久性の実験を行っているとのことでした。
留学生が研究内容をとても熱く語ってくれたので、面談が終わった時には、私も脱プラスチックへの関心がとても高くなっていました。

また、別の留学生は、修士論文で「共感覚」をテーマに研究していました。
「共感覚」というのは、一つの感覚刺激に対して、通常起こる感覚のほかに、別の感覚も同時に起こるという珍しい現象(能力?)だそうです。
例えば、音楽を聞くと「聴覚」だけでなく同時に「嗅覚」も働き、ある音を聞いたときに特定のニオイを感じる、というような特殊能力を持った人が、数は少ないが世の中には一定数いるとのこと。
この留学生の研究内容を聞きながら、ロシアの作曲家であるスクリャービンを思い出しました。
私は大学時代に、日本近代の作曲家である山田耕筰をテーマに卒論を書いたのですが、山田耕筰が影響を受けた作曲家の一人が、このスクリャービンでした。
スクリャービンは、音を聞くと色が見える、という共感覚の持ち主だったと言われています。
留学生から「共感覚」の話を聞きながら、大学時代に卒論に没頭していた頃の懐かしさも相まって、「共感覚」への興味を新たにしたのでした。

留学生から聞くことのできる話は、本当に「知」の宝庫です。
今日の留学生からは、どんな話が聞けるだろう、と出会いを楽しみににしながら、日々面談に臨んでいます。