日本企業はなぜ留学生を採用したいのか

こんにちは!ASIA Linkの小野です。
日本での就職をめざす外国人留学生のみなさんに、就職活動のお役立ち情報をお伝えしていきます。

今日のテーマは「日本企業はなぜ留学生を採用したいのか」。
就活を始めるにあたり、ぜひ知っておいてほしい内容です。
日本企業が外国人社員を採用する目的は4種類。
以下に、ご説明していきます。

1.なぜ企業は社員を採用するのか?

そもそも、なぜ企業は社員を採用するのでしょうか?
企業は、自社の企業理念にもとづいて、お客様に商品やサービスを提供することで利益を得ています。
そして、どの企業も、「もっと良い商品を作りたい」「もっと良いサービスを生み出したい」「もっとお客様を増やしたい」「もっと社会の役に立ちたい」・・・と、常に高い目標を持って、その目標を追いかけています。そして同時に、「どうしたらもっと良い商品・サービスが生み出せるだろう?」「どうしたらもっとお客様を増やせるだろう?」・・・と、常に経営課題を抱えています。
企業は、目標に近づくために、経営課題を解決するために、社員(人材)を採用するのです。


2.なぜ日本企業は外国人社員を採用したいのか?

企業がなぜ社員を採用するのか、これは分かりましたね。
それではなぜ、日本企業は、「目標に近づくために」「経営課題を解決するために」、日本人社員だけでなく外国人社員も採用したいのでしょうか?これから日本で就職しようとしている留学生のみなさんには、ぜひこの理由を知っておいてほしいと思います。
日本企業が、外国人社員(正社員)を採用する目的は、大きく分けて以下の4つがあります。

①高い専門性を持った人材を採用したいから
・メーカーやITのエンジニア
・建築土木系の専門職
・デザイナー など

上記の職種は、大学や専門学校で専門的に学んだ知識がないと、入社してから仕事を行うのが難しい分野です。とくに、エンジニア系の仕事は理系学生が採用されますが、日本ではもともと理系よりも文系専攻の学生のほうが多く、さらに少子化も進んで理系学生が減少しています。優秀な理系学生は、多くのメーカー・IT・建築などの企業で取り合いになっています。そのため、企業は国籍を問わず、理系学生を求めているのです。
さらに、理系分野の知識(数学・物理・化学・機械・電気・情報工学など)である自然科学は、国や文化が違ってもほぼ世界共通の学問です。そのため、エンジニアや理系分野の仕事は、どのような国籍であっても一つの企業の中で一緒に仕事がしやすいのです。
それからデザイナーも、専門性の高い仕事です。デザイナーは、知識やスキルだけでなく「才能・センス」も重要ですね。そのため、国籍を問わず、才能・センスを持った人材は、デザイナーとして採用されるのです。

②海外へビジネスを広げたいから
・海外営業、海外マーケティング
・海外からの仕入れ(調達・購買)、貿易業務
・海外支社や海外顧客との連絡窓口、調整、コーディネート
・海外支社設立のための仕事
・将来の海外支社の幹部候補 など

上記の職種は、昔の日本企業では、日本人社員が英語を使って行ったり、現地の通訳を介して行ったりしていました。しかし、ビジネスのグローバル化が進んで様々な国とのやり取りが必要になったり、ビジネスのスピードも上がってくると、英語で話したり通訳を通じてコミュニケーションを行ったりするよりも、直接お客様と、お客様の国の言葉でビジネスを行ったほうが成功するようになりました。
また、かつて、日本の人口がどんどん増えていた時代には、日本国内だけでビジネスを行っていた企業がたくさんありましたが、日本の人口・市場が小さくなり始めてからは、日本人に売るだけではビジネスが成立しない企業が増えました。そのため、今では大企業も中小企業も、多くの企業が海外へビジネスを広げており、さらに広げようと日々努力しています。
この、「海外へビジネスを広げる」ために活躍が期待されているのが、みなさん留学生です。世界中から日本へ集まってきてくれている留学生は、日本語も母国語も話せるだけでなく、日本と母国の理解者でもあります。さらに英語も話せれば、様々な国へグローバルにビジネスを広げる人材として活躍できるでしょう。

③訪日外国人の対応をしてほしいから
・通訳を含む接客
・外国人客を増やすための広報、webサイト等の翻訳
・外国人客に売れる商品の開拓、訪日外国人向けサービスの企画 など

上記の職種は、外国人観光客の対応、いわゆるインバウンド対応の仕事です。旅行・宿泊業界をはじめ、外国人観光客が多く訪れる空港、免税店・小売店、飲食店などが、外国人社員を採用しています。「販売・接客」のイメージを持っている留学生も多いのですが、実際には、外国人客を増やすための広報や、商品の開拓、サービスの企画などを任されることもあります。企業は、外国人社員に対して、言語力を生かした活躍だけでなく、日本人には気づけない「外国人の視点」で外国人客を増やすことを期待しているのです。
また、外国人観光客ではなく、日本に住んでいる外国人に対応する業界も、外国人社員を採用しています。たとえば、留学生や在日外国人にお部屋を紹介する不動産会社や、仕事を紹介する人材会社、日本語学校のように留学生が多く在籍している学校の事務職員などです。その他にも、技能実習生を雇用している企業や仲介会社が、技能実習生のサポートを行う人材として外国人社員を採用しています。

④社内の人材を多様化し、イノベーションを起こしたいから
日本は、留学生のみなさんもご存じのように島国であり、「均一的」であることが国民の特徴であると言われてきました。この特徴は、1950年代~1970年代の日本の高度経済成長期には、「みんなが同じ方向を向かって同じように一緒に働く」という国民性の良さとして有効にはたらきました。しかし、ビジネスがグローバル化し、変化のスピードも速くなると、同じ人ばかりが集まっている企業は、変化についていけなくなってきました。
そこで日本では、「多様な人材」を雇用して、会社の中に新しい価値観・考え方を生み出そうという動きが活発になってきました。この「多様な人材」の中の一つとして注目され始めたのが、外国人社員です。
実際に、私たちASIA Linkは、外国人社員を採用した企業から以下のような話を聞きました。
「上下関係が厳しい社風があったが、外国人の新入社員が部長にたびたび気軽に話しかけるので、他の日本人社員もしだいに部長と気軽に話すようになり、上司と部下のコミュニケーションが活発になった。」
「新しく入った中国人社員が、社内で就業後に中国語講座を開いたところ、多くの社員が参加するようになった。その結果、中国へ関心や親しみを持つ社員が増え、その後の自社の中国ビジネス展開の土台となった。」
日本企業は、留学生のみなさんに、「新しい風」を持ちこむ存在になってくれることも期待しているのです。


3.役割は一つだけではない

日本企業がなぜ外国人社員を採用するのか、理解できたのではないでしょうか。
企業によっては、一つの採用目的だけで外国人社員を採用するのではなく、複数の目的を持って採用する場合もあります。むしろ、そういう企業のほうが多いと思います。たとえば、1の専門性を活かした仕事と同時に、2の海外とのやり取りも任されることがあります。また、3のインバウンド対応の仕事で採用したが、4のイノベーションを起こす人材としても大きな役割を果たしてくれている、という例もあります。

みなさんは、どのような仕事・役割で活躍したいですか?
「〇〇さんがいてよかった」と、社内やお客様から言われるような、そんな存在になれるといいですね。


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