第2回「教職員のための外国人留学生就職支援研修会」レポート

1.開催のいきさつ

外国人留学生が日本で就職しようとするとき、彼らを様々な角度から応援できるのが、「教員」「キャリアセンター等の学校職員」「就職支援機関(ハローワーク等の公的機関や、民間の職業紹介企業)」です。

かねてより、この3者がもっと互いの情報や経験・知見を共有すれば、留学生により役立つ指導・支援ができるのではないか、と考えていました。
実際に、私たちが仕事をする中で、キャリアセンターの職員や日本語教師の方々、日本語学校の校長先生たちと接する機会が多いのですが、
「同じ大学なのに、職員と教員の距離が遠いのが悩み」
「他の学校はどういう取り組みをしているのか知りたい」
「企業側の採用意図がわからないので、留学生の面接指導が手探り」
と言った悩みを聞いていました。

また、私たちのオフィスに就職相談に来る留学生の方々からは、
「就職についてだれに相談したらいいかわからないので、同じ国籍の留学生のSNSで情報を得ている」
「エントリーシートの書き方がわからず、キャリアセンターに相談に行ったが、自分で調べてくださいと言われた」
「責任ある仕事に早く就きたいので中小企業を希望。先生に相談したら、なぜ大手企業にチャレンジしないの?と言われた」
といった声をしばしば聞いていました。

実際に、私たちASIA Linkのような民間の就職支援会社を利用するのは、留学生の半数もいないでしょう。大多数の留学生は、自分が受講している授業の先生や、自分が通っている学校で行われるガイダンスや企業面談会のほうが、身近な存在だと思います。
そんなことを、社内のメンバーで議論しながら、「教員も職員もいっしょに参加できる研修会があれば」「ないなら、自分たちでやろう」ということになりました。

そこで、昨年開催して好評だった「外国人留学生就職支援研修会」を、今年も国士舘大学の横須賀先生にご協力いただき、国士舘大学世田谷キャンパスを会場に、先週の2018年11月24日(土)に開催しました。

2.参加者の顔ぶれ

今年は昨年よりも多くのお申込みをいただき、49名の方々が当日参加してくださいました。
*大学・専門学校の教員・キャリアセンター等の職員 24名
*日本語学校教員・職員 18名
*日本語学校校長 1名
*その他職員・教員 3名
*その他 3名

お忙しい中ご参加くださった方々、本当にありがとうございました。
昨年教員の方々から土曜日に開催してほしいとの連絡を多くいただきましたので、今回は土曜日に開催いたしました。
次回は来年の6月頃を予定しています。

また、少しでも多くの方に内容をシェアしたいと思いますので、文字だけですべてはお伝えできないと思いますが、以下になるべく詳しく当日の内容をご紹介させていただきます。

3.プログラム

1.発表①
*留学生就職の最新動向と、就労ビザの最新ニュース
*就職が決まる留学生、決まらない留学生 ~本当に日本語力の問題なのか?~
株式会社ASIA Link 代表 小野 朋江

2.発表②
*事例発表「自校の取り組みと課題について」
・九段日本文化研究所日本語学院 北川 淳子 校長
・東京外語専門学校 尾又 由利子 学科主任
・国士舘大学 政経学部経済学科 横須賀 柳子 教授

3.ワークショップ
*テーマ「就業力を高めるために必要なこととは?」

―休憩―

4.発表③
*日本企業が外国人留学生に求める役割とは?
*就活を乗り越えて日本企業に就職した留学生内定者の事例

それでは、以下、発表①から順番に内容を記載します。

4.発表①

 

 

 

5.発表②

6.ワークショップ

 

 

 

 

7.発表③

8.さいごに

 

 

 

 

アンケートに書いてくださったご感想から

(よかった点)
*就職につながった事例に説得力があり良かった。
→同様の感想を複数いただきました。

*基本的な就職動向が分かって良かった。
*最新の留学生の就職に関する情報を知ることができた。
→同様の感想を複数いただきました。

*「就業力」という視点で考えるきっかけを得た。
*「就業力」とは学生側、学校・企業側の両方の課題として考えさせられたのがよかった。

*就労ビザを取り巻く状況が複雑で分かりにくくなっている中、最新情報を整理していただいたのが非常に良かった。
→同様の感想を複数いただきました。

*アンケート結果等数字(データ)で実態を知ることができた。
→同様の感想を複数いただきました。

*ワールドカフェスタイルのワークショップは、色々な分野の方とお話できとてもよかった。
→同様の感想を複数いただきました。

*他校の事例を知り考えることができた。
→同様の感想を複数いただきました。

*就職に必要な能力はたくさん思いつくが、その習得が難しい人への支援が分からないままで、
教師としてどうあるべきか考えさせられた。

*現場の実情について色々共有できた。
*他校の方と意見交換ができて良かった。
*横のつながりができる機会だった。
→同様の感想を複数いただきました。

*セミナー形式とワークショップ形式が両方あってよかった。

*自分の思いを再確認できた。

*限られた時間内に豊富な内容を入れていただきよかった。
きちんとタイムキーピングされていて参加しやすかった。

*資料が充実していてよかった。

(改善希望や今後の要望)
*就活をする学生のスケジューリングが遅かったりでたらめだったりするので、どのように指導していけば良いか知りたい。

*全体的に時間がもっと長いと良いと感じた。
→同様の感想を複数いただきました。

*事例発表でもっと事例を紹介してほしかった。
→同様の感想を複数いただきました。

*引き続きこのような会をしてほしい。
→同様の感想を複数いただきました。

*名刺交換のことは事前に知らせてほしかった。

*高等教育機関ごとの就職希望者数と内定者の割合を知りたい。

*日本語学校と大学で新卒の就職支援がやや異なる点を区別できるとより良いと感じた。
日を分けてそれぞれやっても良いのでは。
→同様の感想を複数いただきました。

*就職に必要な法律(ビザ関係)の知識をつける会があるとありがたい。

*ワークショップでもっと多くの島を巡りたかった。
→同様の感想を複数いただきました。

*ワークショップの説明をもう少し分かりやすくしてほしかった。
(全体の流れ、何ラウンドあるのか、模造紙はどう使うものなのかなど)
→同様の感想を複数いただきました。

*日本語学校を卒業して専門学校へ行き、3年ほど働いて帰国するという学生が多いが、
この指導をどうしたらいいか悩ましい。

*具体的な対策・就職活動の進め方を知れたらもっと役に立つかと思う。
→同様の感想を複数いただきました。

*閉鎖的なところもある日本語教育業界に、このような取り組みでくさびを打ってもらいたい。

*留学生に関する就職情報、サポートの仕方など知りたい。

*このようなセミナーはもう少し早めに開催していただけるとありがたい。

*企業側の声も聞いてみたい。企業の方との話し合いの機会もあると嬉しい。
→同様の感想を複数いただきました。

*質疑応答の時間がほしかった。

*就職した留学生の生の声が伺える企画があると良い。

*どんな業界がどんな国籍の学生を好むのかを知りたい。

*ビジネス日本語の教え方などのセミナーがあると良い。

*低いレベルの学生の就職例をもう少し紹介してほしかった。

*採用・不採用の実例と分析をもっとたくさん紹介してほしい。
→同様の感想を複数いただきました。

*日本の高等教育機関を経ず就職している実情ももっと知りたい。

*就学と進学との関連性をもっと知りたい。

ほかにもたくさんの貴重なご意見・ご感想をいただきました。次回に生かしていきたいと思います。
ありがとうございました!

(文責:(株)ASIA Link 代表 小野朋江)