コロナ禍の入国制限が及ぼす留学生の就職活動への影響に関する一考察

こんにちは。ASIA Linkの小川です。
秋があっという間に終わってしまい、肌寒い季節になってきましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

2023年は新型コロナウイルス感染症が感染症法上5類へ移行され、以前の生活に戻りつつあるように感じられます。

コロナ禍を振り返ると、2020年4月7日に緊急事態宣言が発令され、5月25日には「水際対策強化に係る新たな措置」の決定がなされ、入国制限があり、日本に新規の留学生が入国できない時期がありました。

この入国制限により、留学先をほかの国への変更を余儀なくされた方、時機を逸してしまったことから自国で就職や進学をするといった方もいたと耳にしたことがあります。

留学生の就職支援をしている弊社にとって、留学生数の変化は大きな影響を受ける可能性があり、把握しておくべき数字であると考えております。

この記事では、コロナ禍とコロナ禍以前の「留学」の新規入国者数を出入国在留管理庁の統計資料から、実数を捉え、今後の予測をしていきたいと思います。

1.在留資格「留学」の新規入国者数の変化

まず、出入国在留管理庁の統計資料から、在留資格「留学」の推移を見ていきます。

「表2 在留資格別 外国人新規入国者数の推移」より「留学」を抜粋

引用:令和5年3月24日「出入国在留管理庁 令和4年における外国人入国者数及び日本人出国者数等について」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001393060.pdf

コロナ禍直前の2019年(令和元年)の新規入国の留学者数は121,637人でした。2020年の新規入国の留学者数は49,748人で対前年比で-59.1%、2021年は11,651人で対前年比で-76.6%でした。

2018年と2019年には、新規の留学生数は12万人平均でした。単純な計算ではありますが、2020年は7万人減り、2021年は11万人減っており、合計18万人の留学生が抜けてしまった影響が今後出てくるのではないかと考えられます。

2.「留学」資格の総滞留数の変化

次に、出入国在留管理庁の在留統計資料をもとに、すでに在留資格「留学」を持った方々が日本国内にどれだけいるのか総滞留数、新規入国、帰国の数を表にしました。

【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】
https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_touroku.html

一般的に日本で就職活動をする留学生の多くは、日本語学校や大学の研究生、科目等履修生で1~2年日本語を学びながら進学準備を行い、その後、大学や大学院に進学します。彼らが就職活動を始めるのは、学部生の場合は入国してから4~5年後、大学院生の場合は入国してから2~3年後ということになります。

大学院生の場合は23卒からすでに影響が出ていましたが、ボリュームゾーンである日本語学校→大学学部へ進学した留学生が就職活動を迎える25卒以降が、特に母数減少の影響が現れることが予想されます。さらに25卒以降の就活留学生の母数減少は、27卒頃まで続くと予想されます。

今後の留学生採用は競争の激化が予想されるため、企業は留学生に訴求する採用施策について、さらなる工夫が必要になると思われます。

参考資料
https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_touroku.html
令和4年 https://www.moj.go.jp/isa/content/001393064.pdf