こんにちは! ASIA Linkの小野です。
本日(2022年11月2日)、2022年度の就職活動を終えた文系留学生4名に集まっていただき、Zoomウェビナーで座談会を行いました。
これから就職活動を始める後輩留学生に向けて、貴重な就活体験談を語ってくれました。
以下にレポートいたします。
【パネリスト】
Lさん(ベトナム) 大学院・グローバルスタディ専攻 精密機械メーカーの海外営業職に内定
Cさん(台湾) 大学・経営学専攻 植物化学メーカーの国際業務に内定
Yさん(中国) 大学・グローバルコミュニケーション専攻 精密機械メーカーの海外営業職に内定
Sさん(韓国) 大学・経営学専攻 気象情報サービス企業の海外営業職に内定
【ASIA Linkスタッフ】
司会:井上
書記:小野
井上:みなさん、こんにちは!
今日は、ご参加ありがとうございます。
就職活動をして内定を取った留学生のみなさんに、今日はお話しを伺います。 貴重な体験談なので、みんなにシェアしたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
パネリスト:よろしくお願いします!
■就活前に不安だったことは?
井上:就活を始める前はいろいろ不安がありましたか?
Lさん:私は、去年の夏から就職活動を始めたのですが、最初はどの業界が自分に合っているのかがわからず不安でした。 まずは広く業界を見ながら、インターンシップに行ったりして、この業界は成長できるか、自分に合っているのか、調べていきました。 大学からの情報や、ASIA Linkのような留学生をサポートするエージェントの情報が役立ちました。 それから、就活セミナーは参加をお勧めします。 どうやって日本の就活を進めていくのかを知ることができました。
Cさん:私も就活軸が決められず、どんな業界がいいのかわからず不安でした。 いろいろな方法で情報収集もしましたが、自分の方向性を決めるのは難しかったです。 先輩や先生と相談して、将来像を考え、自分の過去も振り返り、自分の何が強みか? を考えてから、業界を考えていきました。 大学3年生の夏からインターンシップ等に参加して自分の軸を決めていき、その後本格的な就活を始めました。
Yさん:私は今年の1月から就職活動を始めたので、インターンシップには参加せず、大学内の就活ゼミにいくつか参加しました。 最初は、留学生を受け入れていること、ダイバーシティを推進していることを軸に、会社を探していきました。 職種は、文系の新卒なので、事務職と総合職がいいのかなと思い、この職種を見ていました。そして、この就活プロセスから見えてきたことがありました。 事務職として、そもそも外国人を募集していないことがわかったり、自分の長所・短所とも事務職は合っていないということがわかってきたのです。 私は語学力とコミュニケーション力が強みなので、営業職のほうが向いているのではないかと思うようになりました。事務職のグループ面接のときに、留学生が自分一人だけで、まわりの学生さんたちが自分とはタイプの違う方々だったりした経験も、自分に合う職種を考える気づきになりました。このように、就活の過程で、自分を深堀りしていきました。
Sさん:私が就活を始めるときに心配だったのは、自分が本当に日本で就職できるのか?ということでした。企業によって、留学生採用の理由はそれぞれ違うと思います。とくに大きな理由は、中国市場にシェアがあるから中国人留学生を採用する、韓国市場にシェアがあるから韓国人留学生を、ということだと思います。私は最初はITのSEみたいな仕事がいいかなと思って就活を始めましたが、就活の過程で、ITエンジニアは外国人ではなくても日本人の採用でよいのでは?と思うようになりました。企業が留学生に求めているのはむしろ営業職だと、就活の中で感じました。
■自分のやりたい仕事、入りたい会社はどうやって決めた?
井上:なるほど。こうかな?と仮説を立ててスタートして、その後の就活の課程の中で修正していくのがみなさんの共通点ですね。就活をやりながら、自分のやりたい方向性を確認していく、という方法で就職活動が進んでいったのですね。では、最終的に自分はこの仕事がやりたい、この内定先に決めよう、と考えた理由は何でしょうか?
Lさん:私は、グローバルな活躍がしたいという軸から、メーカーと商社の海外営業職に志望を絞り、就活を進めていました。内定先のメーカーは、海外営業職として英語もベトナム語も活かせるので、この会社で働くことに決めました。
Cさん:私は、最初は人材・広告・ITなど様々な業界を見ていました。動いていくうちに、無形商材よりは有形商材のほうをやりたいと感じるようになり、その中でも、BtoCとBtoBを見たときに、BroBのほうが早くグローバルで活躍できるからBtoBがいいという方向になりました。その条件に合う企業の中から、海外駐在や海外転籍の求人ではなく、自分は日本をベースにして海外出張をしながら働きたいので、現在の内定先に希望が絞られていきました。
Yさん:メーカーで海外営業がやりたい、というのは就活早期からの自分の希望でした。私も家族も日本のメーカーが好きだったことも一因です。内定先への決め手としては、中国にも拠点があることです。私は一生日本にいるわけではないと思うので、将来母国にも戻れる可能性があるというのも決め手でした。
■面接で難しかったことは?面接で大切なことは?
井上:そうですね、留学生の場合は将来の働き方、キャリアパスを考えておく必要がありますね。将来の計画については、面接の中で聞かれることもよくあります。Sさんは、面接のときに今後の計画について質問されましたか?
Sさん:はい。面接の中で、今後韓国に帰る予定はあるか、と聞かれました。私は正直に、「できれば日本で長く働きたい」と伝えました。そう答えた上でさらに、「もし帰ることになっても、御社とつながりを持って働きたい」と伝えました。日本企業は、日本で長く働いてくれる人が欲しいと思います。ただ、将来について100%の約束はできません。私は、どちらにも対応できるという言い方で伝えました。嘘をつくことはだめです。
Lさん:面接を受けた企業からはすべて、日本でどのくらい働きたい?と聞かれました。就活の際には、ここはきちんと考えておく必要があります。日本で働き始めて1年後にベトナムへ戻って欲しいという企業もあるので。希望と合わないのに就職してしまったら、お互いに良くありません。
井上:面接の中では、他に難しい質問はありましたか?
Lさん:内定先企業での面接の質問は難しかったです。ベトナムの地図を見せられて、うちの製品をベトナムのどの地域に販売したらうまくいくと思うか?と聞かれました。わからなかったので、自分が生まれた地域について話しました。私の生まれた地域には、工場が多かったので、内定先の企業にもこの情報は応用できるのではないかと思いました。面接では、嘘を言うのではなく、自分が本当に思っていることを言ったほうがいいと思います。
井上:Lさんはその企業で内定が決まったので、その答え方で良かったのだと思います。企業も、学生に対して正解を求めているというよりは、どう考えてどう答えるかを見ているのだと思います。
面接の中で、志望動機も聞かれたと思います。みなさん、志望動機についてはいかがでしたか?
Cさん:めちゃめちゃ具体的ではないと落ちる、というのが私の結論です(笑)。30社くらい選考を受けた結果の結論。私の場合は、たとえばその企業の募集職種の中から一つ選んで、5年後の自分がこの職種で働いているイメージをしながら、自分はこの仕事で何をしたいのかを考えました。自分はこういうことがやりたい、この会社はこういうところに力を入れたい、という両者の接点について志望動機を作っていきました。面接ではキャリアプランも聞かれるので、志望動機をベースにして、キャリアプランを説明したほうが、相手も納得します。5年後の自分のイメージから、志望動機とキャリアプランを考えていくことで、話に一貫性を持たせることが重要だと思います。
Yさん:学生の考え方を捨てることですね(笑)。これが社会人の第一歩だと思います。なぜ自分がこの会社に行きたいかではなく、会社にとってなぜ自分が合うのかを考える。自分のメリットではなく、会社が自分を採用したときのメリットを考えるのです。すでに志望動機から競争は始まっています。会社の独自の特徴、キャリアパス、自分の長所などを会社と結び付けて考える。会社に対して、自分が何ができるかを考えて、伝える。これが志望動機で大事なことだと思います。これを考えるためには、会社のことをよく知ることも必要です。私は、面接のときに、最低3つは逆質問をするように準備をしました。
井上:なるほど、逆質問をすることも、面接の上では大切なポイントですね。Sさんにお聞きしましょうか。Sさんは、逆質問はどのように考えましたか?
Sさん:ありきたりな逆質問よりは、面接官にたくさん話してもらえるような逆質問をすることが大事だと思います。その面接官が、会社の中でどうやって上り詰めたのかとか、どんな人と一緒に働きたいかとか。面接官の考えを話してもらえるような逆質問が、私はいいと思います。自分自身がその会社を理解することができることももちろんですが、自分が何を考えているのかを面接の中で表せるのは、逆質問です。たくさん質問したほうが自分のアピールにもなります。質問力は大事です。
■日本語で苦労したことは?
井上:みなさんは、就活のいろいろな場面で日本語を使ってきたと思いますが、日本語の面で何が一番大変でしたか?
Lさん:面接で質問されるときの日本語と、自分から伝える際の日本語の両方です。どうやって伝えたらいいのか、コツをつかむ必要があると思います。ESに書いた文章と、話すときの文章も違います。そのまま読むのは不自然です。
井上:自分の言葉で伝えることが難しいのですね。まわりの人と練習しましたか?
Lさん:キャリアセンターの先生や友人と相談や練習をしました。日本の面接での話し方として、結論から言うことや、数字で客観的に表すことなども難しかったです。実際の面接のときには緊張もあるので、準備をしっかりしないと、面接官に聞かれたときに混乱します。場面によって柔軟に対応できるように準備しておくことが大事だと思います。
Cさん:私はESのほうが苦労しました。限られた文字数の中で自分の伝えたいことを書くのは難しかったです。先生や先輩に添削してもらいました。ESは事前に準備ができるので、日本語は完璧である必要があると思います。ESの日本語が間違っていたら、企業側にはやる気がないと思われます。逆に、面接の日本語は完璧でなくてもいい。面接は会話ベースだから、完璧だと逆に人間味がないと思いますし、企業も留学生の面接の日本語会話に完璧は求めていないと思います。
Yさん:私もESを書いたときに日本語に苦労しました。逆に面接はそこまで難しくありませんでした。会話で本当に重要なのは、日本語能力だけではなく、その人が話す感じ、というか雰囲気だと思う。面接官から評価される点はそこだと思います。面接官も人間なので、好き嫌いがある。気持ちよく話ができることが大事だと思います。
Sさん:私はSPIに苦労しました。そこで落ちることが多かったです。それ以外は、日本語での苦労はあまりなかったと思います。SPIは3年生の夏ごろから準備しました。基本的にSPIについては留学生だから点数に配慮するということはないので、ESがいくら良くても、SPIの点数が悪いと落ちると感じました。
あとは、敬語も勉強しておいたほうがいいと思います。ビジネス的な、目上の方への尊敬語、謙譲語も使えたら、面接官が喜ぶので(笑)。私はしっかり使えるようにしたので、面接官からとても褒められました。
井上:どうやって敬語を身に着けたのですか?
Sさん:私は日本語が好きなので、一人でずっと家でつぶやきながら練習しました(笑)。何時間も。あとはニュースをずっと流しておくのも良いと思います。
井上:最後に、就活をうまく進めていく上で、何かお勧めの方法があれば教えていただけませんか。Cさんいかがですか?
Cさん:自分のやったことを振り返り、次の目標を立てることです。そうしないと、何もやらずに終わってしまいます。最終的な目標から逆算して、この1か月間何をする、ということを決めて動くのです。そうしないと内定は取れないと思う。自分は最初それをやらなかったから、やばかった(笑)。具体的には、企業の説明会や面接に参加した後、どのような情報を得られたのか、自分の考えはどうだったか、という振り返りの可視化を行いました。この振り返りが次につながりました。私は、説明会も面接も、就活に関する活動はすべて記録していました。
井上:「振り返り」と「可視化」、本当に大事ですね。私たちASIA Linkも、まさにその方法がとても重要であると考えています。
みなさん、あっという間にお時間となりました。今日は、お忙しい中集まってくださり、本当に貴重なお話しをありがとうございました。社会人になってからのご活躍も応援しています。
視聴してくださった留学生のみなさん、これからの就職活動にぜひ役立ててくださいね。
本日は、ありがとうございました!